2月

       ニホンスイセン

 この時期に庭で咲いている花を探しました。梅はまだ蕾、モクレンも春を待っています。目に付いたのが写真のニホンスイセンです。福井県の県花です。
 もともと地中海沿岸の原産で中国を経て日本に入ってきたそうです。日本では古くから園芸化された球根植物で、学名のナルキススはギリシャ語のナルケ(麻痺させる、眠らせる)に由来し、球根に毒性があり腹痛や嘔吐を引き起こす有毒植物だそうです。
●2月28日(水)オシドリ&亀甲竹

 堀氏から2月19日に送られてきた写真です。

 「岡田 様
 千里の真ん中、中央公園でオシドリを見ました。半信半疑でしたが。オシドリ♂と♀そしてカルガモです。
昨年はわざわざ奈良の天皇陵まで見に行ったのに。残念ながら私のレンズではここまでです。(トリミングしても)フィルドスコープが必要です。直ぐに隠れてしまいます。これでは見れない訳です。」
 追伸:八幡市にある松花堂美術館と庭園をご存知ですか。面白い竹「亀甲竹」というそうです。
今日は万博、野鳥は不調。


【松花堂美術館の亀甲竹】

   
   【オシドリの♂と♀】

●2
26日(月)〜27日(火)知多半島の先、日間賀島

知多半島の先に日間賀島(ひまかじま)がある。地元や名古屋の人は知っている。わたくしは自分が編集している情報誌『Brain Trust』に上甲氏(元・松下政経塾長)が「日本一元気な町」として日間賀島を紹介していたから知った。隣に篠島(しのしま)があって、数年前までは篠島へ行く人が多かった。日間賀島はフグで有名であるが、かつてはほとんど下関に送られ、地元の人が食することはなかった。ところが、ある時、観光業者と漁業組合が手を結び、地元の観光開発に力を入れだしたのである。それまで両者は犬猿の仲で、共同企画には目を向けなかった。

 それがここ数年、有名になり、観光客、とくにフグの季節(101日〜3月末)は民宿、旅館、ホテルは平日も大盛況である。愛知県はもとより、関西、四国からもやってくるという。この日、女性シニア集団の写真撮影を頼まれたので、聞くと岐阜からやってきたとのこと。毎年、この時期にフグを食べに来るというかなりのシニア集団とも船上で話したが、彼らは知多の住民だった。写真といえば、行きも帰りも同じ船で、しかも同じ旅館に泊まった30前後の女性二人にも、船を待つ海岸でシャッターを押してと頼まれた。

 この日、朝10:06鶴橋発の近鉄特急で名古屋へ出た。名古屋へ12:06着である。名古屋から名鉄で河合(こうわ)まで特急で約40分(運賃1,250円)、そこから河合港まで無料バスで3分ほどで着く。そこから高速船艇に乗って20分で日間賀島・西港に着く。平日だけど、15:05発の高速船はほぼ満員である。

 カモメが船とたわむれるように飛んでいる。穏やかな海であった。
 宿泊は「インターネットで探してきた」とエレベータ内で案内の女性に言うと、「あたり」とポンと肩をたたかれた。海游亭(かいゆうてい)という旅館で、船を降りると正面に見える、シックな旅館である。受付の女性に、情報誌の一件を確認したら、その通りですと教えてくれた。

 ここは全部で16部屋しかなく、この日も満室だという。休日はよほど早くから申し込まないと取れないようである。部屋は申し分がない。食事も同じフロアーだけど、個室になっている。仲居さんたちは総じて朴訥だが愛想はいまひとつである。受付の女性は別だが。

夕食は、天然フグコースである。食べ応えはあった。日間賀島は小さな島だが住宅地は当たり風を避けるため結構、密集している。日間賀島の夕日は美しかった。27日も快晴。いい気分転換になった。

 10:05発の船で帰路に着いた。名古屋で駅近くにあるノリタケの博物館に寄って帰った。

                 【【日間賀島の夕日と 海游亭(奥の高い建物)】              

●2月26日(月)パソコンクラブ

 毎週、日曜日は午後から5時間、パソコンクラブで教えてもらっています。今回、雑談の時に知ったのですが、最高85歳の紳士が参加されています。はじめ出きるのかな、と思っていましたら、たいへん腕を上げておられました。ほかでも勉強されているようで、とにかく熱心です。
 わたしもがんばらなければと思います。この日の講師の方は74歳ということでした。シニア力はすごいですね。
 この日は、 先月に続きEXCELを学びました。ここのすごさは、講師の方が事前につくられた自前のテキストをダウンロードできるように送ってくださることです。
  先生のわかり易いテキストで予習でき、スムースに勉強会が進みました。
 
【学んだポイント】(世話人代表のメモから引用)

  1)EXCELで家計簿作成 データの入力規制で支払い項目を効率よくする入力できる家計簿を作りまし   た。
  2)ピボットテーブルを使って項目別の集計をつくりグラフ化する


●2月25日(日)OYAJIサミット

 昨日の土曜日はたいへんでした。税理士の方が朝から拙宅へ青色申告の指導に来てくれました。実はその週の木曜日に来る予定でしたが、わたしのミスで、日を変えていただいたのです。
 
 ところが、この日は京都でOYAJIサミットがあります。はじめこの会合は夕方だと思い込んでいましたら、先輩から「今日の会合へ行くのか」と携帯で確認してこられました。
 「行きますが、夕方でしょう」と返事すると、「昼の12時からだと書いてある」というのです。
 わたしの頭の中は真っ白になりました。税理士を優先して、サミットには遅れることを伝えました。約1時間で申告の用紙に書き込み、急いで電車を乗り継いで駆けつけました。会合は始まったところでした。

 この会合の詳細は後日、掲載する予定ですが、すばらしいものでした。
 主催は若き社長がバブル時代、一世を風靡する工場を建設、脚光を浴びました。その後、バブル崩壊とともに倒産、どん底から立ち上がり、いまは上場を目指すまで盛り返した中小企業、株式会社パラット ドゥの主催です。その苦節の時代に出会った人たち約30名が会費を払って集まりました。
 
 まず、大手電器メーカーで現場のカイゼンに取り組まれた団塊世代の方が定年退職、その人生で得られた現場力の大切さをパワーポイントを使って話されました。
【パワーポイントで説明、講演】

 続いて屋久島の魅力に取りつかれた中国人画家・王子江の水墨画が披露されました。すばらしいものでした。
【屋久島の水墨画】

 会合の場所は京都・五条通のひとつ北側の万寿寺通の「月曜日のフォーク(イタリアンレストラン)」です。町屋を改装した純日本風の建物でイタリア料理をいただきました。雰囲気はいいですね。
 店の電話は075−342−4868です。

【「月曜日のフォーク(イタリアンレストラン)」】



●2月24日(土)団塊の世代

 昨日、東京から知人が「相談したい」と大阪へ訪ねてきました。聞きますと、近く定年になるので、自分でビジネスをやりたいということでした。その内容は長年、ITを勉強、国家資格も取得しているので、それを生かすことを考えているということでした。
 具体的にはこれからですが、ベンチャーや中小企業を支援するネットワークを立ち上げ、ニュースを流すものです。当然、そのネットワークにアクセスが多く、効果が出ないとダメなわけで、大阪のプロバイダーと打ち合わせるのが目的だそうです。
 わたしが聞いた範囲では魅力的なものでした。これから考えているシステムが構築できるかどうかにかかっています。それにしても新しいことに挑戦しようという意欲には敬意を表したいです。具体化しましたらここでも紹介したいと思います。

 彼も団塊の世代ですが、共通の知人は行政書士の資格を取ったそうで、新たな仕事を見つけ、ゆくゆくは独立すると聞きました。団塊の世代も頑張っているのですから、先輩格のわたしも元気づけられました。


●2月23日(金)認知症テスト

 先日、この日記に認知症の気配と書いたところ、知人からメールをいただきました。また、旧友からは「前から物忘れはひどかったですよ。いまさら心配することないです」と、直言されました。
 講演で「生涯現役記者としているのは、なにか書いていたらボケないからですと話したのだから、認知症になったら、これはお笑いものである」と、思ってはいるのですが・・・。

 「岡田 様
 岡田さんと認知症は一番遠いところに有るのでは。体を使い、頭を使い、絶え間なく異なる人との会話。
これで認知症になるのなら私はとっくに入院です。
 
 参考までに、インターネットで認知症を引いてください。簡易テスト問題の有るサイトがあります。この私でさえ病院へ相談に行く点数を上回っています。寝る前に試されたら、ゆっくり眠れます。

 このようなメールをいただきましたので、次のHPでテストをしました。一応、病院で相談する必要はないようです。皆さんもご興味がありましたら、やってみられてはいかがですか。
http://www.e-65.net/check_index.html



●2月21〜22日(水〜木)姫路・講演・書写山

 21日夕方、6時から7時半まで講演をした。演題は生涯現役記者の見る「日本のユニーク企業」と題して話した。主催した担当者からは、まずまずの感触を得た。私自身もかなり話しやすかったので、何とか及第点はつけられる。
 懇親会のあと、地元の推薦者らと居酒屋で交流した。ホテルに入ったのは11時半を回っていた。肩の荷がおりて多少、飲みすぎた。
 22日午前9時にホテルを出て、書写山・圓教寺に行った。初めて訪れた。ロープウェイで山頂まで行き、摩尼殿から大講堂など三つの堂を見て、下山。平日でも10時過ぎには数十人の集団が訪れていた。一見に値するお寺である。昼食は姫路城を見下ろせるレストランで食事をして帰宅。


【清水寺に似た摩尼殿】


【右が大講堂、左が食堂、手前の屋根が常行堂】


●2月20日(火)認知症の気配
 

 認知症が出てきたのかと心配しています。先日も加古川で待ち合わせたときに、日を間違っていました。この時は、相手が最初メールで知らせてきた日が頭に入り、修正日と混乱しましたので仕方がなかったのです。ところが昨日午前中に税理士が自宅に来て税務申告書類を作成してくれるものとメモしていたのですが、日を間違えました。
 
 午後一番に、近くの電気屋がエアコンフィルターの取替えにきてくれました。やり方を忘れていたTV番組からビデオに録画する予約方法を習いました。電気屋で購入すると、大型量販店のように、割引はないが、細かいサービスをしてくれるので、年をとってくると、近くの電気屋の方がいいと思っています。ついでに故障しているインターフォンも調べてくれました。こうしたこまごましたことを気楽に頼めるのも、近所の電気屋さんです。
 そのあと、仕事で大阪市内にでかけました。企業の技術についてのブレーンストーミングによる会議に参画しました。夜はプロダクションの社長と大手企業の執行役員の3人で懇談をしました。そのうちのお一人は7年前に奥さんをなくされ、奥さんの両親と子供で暮らしているそうですが、人生設計がくるい、悩んでいる様子でした。その方もダブルブッキングするなど、認知症の心配をされていました。高齢者に共通の現象です。

●2月19日(月)能楽

 先日、仕事で大阪市内の山本能楽堂へ能を観に行きました。若い頃、一度観たきりで、初めてと変わらないも同然です。
 いま、大阪の伝統文化の一つである能楽の振興に行政、経済界も力を入れていますが、この山本能楽堂のシテ役である山本氏は3代目(予定)で、能楽の継承と同時に普及に尽力されています。初めてでも理解できるように開演前と後にの10分〜20分ほど、解説され、この日はバレンタイン能と銘打って、お土産の抽選もするなどのサービスをしていました。
 とくに仕事帰りに立ち寄ってほしいと、6時30分に開演時間を設定されています。この日はOLを中心に満席状態の150人が楽しんでいました。
 これからのプログラムは山本能楽堂か、大阪商工会議所のナイトカルチャーで検索すれば見れます。

●2月18日(日)野鳥の写真

 堀氏から野鳥の便り(12日)が届きました。いつもながらすばらしい写真も添えられていました。

「岡田 様
この三連休は期待が大きすぎて結果は惨敗でした。一週間前に千里の公園にヒレンジャクが群れを成して来たと聞きました。
まだ数羽は居るのではないかと。 公園4箇所回りました。残念、全て去りました。本当はこのヒレンジャクだけではなくオシドリ、アオゲラ、シメ、マヒワを捜していました。
オシドリはメスだけ。アオゲラは樹を彫った穴だけ。シメ、マヒワにいたっては先ほどまで居たと聞かされました。
 
それでも撮った写真で一寸だけ面白そうな写真を送ります。
ほんの参考まで。
@イカルとコイカル 違いが一目でわかります。(向かって左がイカル)
Aアオジ 横顔と正面がの違いに吃驚。」
 

【アオジ=堀氏撮影】


【イカル&コイカル=堀氏撮影】



 2月17日(土)寒中ハイキング・登山

今日は市主催の生駒(暗峠〜鶴林寺跡〜生駒山頂〜摂河泉)登山に参加した。中級向きで10.5キロの道のりである。朝9時30分にグリーンガーデン枚岡に集合、総勢24人、男女半々、最高齢74歳である。

 途中、かなりきついところもあったが、全員、登った。午後から雨になったが、たいしたことはない。大半がシニアで、なかに小学校2年と4年の子供もいた。とくに女性が健脚である。

 こうした集団で行くと、雑談のなかでいろいろ学べるからおもしろい。今回は前立腺肥大症の人が手術の前後の話をしてくれた。手術前は残尿感があって困り、手術後は1時間に3回の頻尿感があるという。ハイキングでは途中、トイレがなくても隠れて用をたすそうだ。 みんなそれぞれの人生をたくましく生きてきたことがわかる。

 暗峠を奈良側に超えたところに、漫才家の大輔?・花子の自宅を道路から見た。入院中のためか、人気はなかった。家は普通の家といった感じで、有名タレントにみる豪邸ではなかった。

 グリーンガーデン枚岡で風呂(200円)、ビールセット(900円)、参加費(100円)の計1,200円で充分、リフレシュできた。このハイキングのリーダー役の人が主宰している「生駒古道会」に誘ってもらったので、次回から参加しようと思う。登山は古道が柔らかく気持ちがいい。


【遠くの山並みは六甲山で墨絵のような風景は珍しい=府民の森近くから撮影】



●2月16日(金)
ロンドン便り

 ロンドンに住む友人(ドイツ人)が来日、東京から電話があった。もう、20年以上の付き合いである。
 「いまイギリスは景気はいいの?」
 「イギリスはシティとそれ以外の地域、工場などは関係がない。工場は中国とインドだよ。シティ=(金融、それもユダヤ資本ががっちり握っている)は最高で、アメリカも陵駕しているほど、元気そのものだ」(彼はシティでコンサル業)という。
 「イギリスは少子高齢化問題はないの?」
 「アングロサクソンは少子化で、先進国は同じ傾向だ。だけど移民が多いので、労働力は問題がない。いま、英国人がよく働くようになり、会社にいる時間が長いので、その分、家庭で子供と接する時間が減り、犯罪が増えている。やはりこれもバランスの問題だね」
 「そちらから見ると、日本はどうなの?」
 「金融は問題外だけど、トヨタとか、ソニーなどの精密ものづくり企業は元気だね。やはり日本の中小企業はたいしたもので、そこが日本のものづくりを支えている。日本は環境技術でもっと世界に貢献すべきだよ」
 20分ほどの会話であったが、イギリスの空気が伝わってくる。来阪の機に会うことにした。その時は、もっといろいろ聞いてみたい。

●2月15日(木)広告と報道

 ある大手企業の社報の執筆を手伝っています。今度は会長の巻頭メッセージ作成と、座談会の司会とそのまとめ原稿で、テーマともどもかなりの難易度を感じながら、資料集めをやっています。
 
 ある報道関係者から夕方、電話が入った。「営業は広告主の顔色をうかがって、報道に圧力をかけてきます。そういうこと事態、問題だという意識がないのですかね」と、よほど社内でショッキングな出来事があった様子である。
 
 日ごろ、言論の自由を叫ぶ大手新聞、TVの報道陣も大なり小なり、こうした社内圧力に屈しているのである。商業新聞、TVである以上、広告を無視できない現実がある。ある新聞社では、販売で売上の5割以上をキープしないと言論は守れないと語っていたのは、昔のことである。そのころでも、「象を針で突く程度の批判しか、いまの新聞はできていない」と、当時の大手新聞編集局の部長が話してくれた。最近は活字離れが進み、少子化も重なって販売競争が激化、広告への依存度が高まっている。
 
 今回、関西TVの不祥事で広告が大幅減となっているようだ。同社の調査報告で「孫下請けが作ったものまでチェックができない」とトップは開き直ったが、常識では考えられない発言だ。メーカーはいかに下請けを使おうが、自社ブランドを冠して売って欠陥が見つかったら、当然、メーカーの責任が問われ、辞任すべきであることは明白である。今回、さらに問題になるのは、許認可権をもつ総務省が罰則強化の法案を準備していることである。この口実を与えた関西テレビの罪は後世に禍根を残すに違いない。


●2月14日(水)
雑談

 昨年末以来の風邪がすっきりしない。痰がつまり、講演するのに聞き苦しいことを心配する。思い切って病院へ行く。痰だけの治療はないと言うことだったが、痰きりの薬剤を2週間分もらって帰った。これで少しはよくなった。
 東京から旧友が電話してくる。大阪へ行く友人に会ってほしいと依頼される。
 京都のプロダクションからCIプレゼンの結果を知らせてくる。
 大阪からブレーンストーミングの打ち合わせの電話が入る。
 中央官庁の原稿の確認作業。
 今週末の能楽取材の準備。
 講演原稿の作成。
 結構、雑用も含めて忙しい。


●2月13日(火)ウソの♂と♀


 わたしはこのところ生駒に出かけ、野鳥を追っていますが、なかなか珍しい野鳥にあえません。あっていても名前が特定できないこともあります。その点、堀さんはいつも感動を与えてくれます。次のメールは2月4日に届いたものです。

「六甲山森林植物公園へ行きました。運良くウソに逢いました。前回はオスだけでしたが今回は両方。メスの写真も撮れました。やはりオスほどの派手さはありません。 木陰でチョロチョロ動くのが目に付き撮りました。撮ったときはウグイスかなと。ディスプレイで見てみるとエゾムシク?のような。 ちょっと早いのでは思いつつ調べてもそのような違うような。エゾムシクイならウグイス系です。」(堀氏のメール)

【ウソの♀:堀氏撮影】

【ウソの♂:堀氏撮影
 
 

●2月12日(月)生駒山系歴史・文化フォーラム

【開会のあいさつ】

 昨日は大阪府みどり公社主催の『生駒山系歴史・文化フォーラム』に出かけた。150人の定員のところへ267人が申し込んだため、抽選となったが、幸い当選のはがきを手にした。
 生駒山ろくに住んでいて、知らないことも多く内容は非常によかった。とくに基調講演をした水野正好・大阪府文化財センター理事長の「歴史が息づく生駒の山々」及び吉村元男氏の「生駒の山並みーそれは大阪平野に屹立する都市の壁である」はいずれも興味深い話であった。
 造園家の吉村元男氏は大阪府農林部の若手職員の依頼で「このままでは土砂取りで生駒山が破壊される。森林公園をつくる土地を確保するため国に予算請求するので、企画案を作成してほしい」ということで、時間がないので詩を書いて企画書を提出、生駒に広がる数箇所の園地をつくった。
 当時は、高度成長時代で、大阪のスモッグや亜硫酸ガスが生駒にぶつかり山を荒廃させていた。その頃、著名な財界人が「生駒をつぶせば、スモッグが奈良に流れるのでいいではないか」と、本気で主張していたそうだ。恐ろしい発想の財界人がいたものだ。

 わたくしも会場(2人)から意見を求めたので、60年近い住人として提案したところ、
会場から拍手が起こり、パネラーの何人かも提案を引用して意見を述べていた。提案のポイントの一つは「生駒で国蝶のオオムラサキが見られる山として売り込めばいい」である。いずれにしても脱ダムではないが、コンクリートをつかった開発はいらないという内容である。
 生駒の3大失策は、山頂の遊園地(まともなレストランもない)、生駒・信貴ドライブウエイ(ほとんど利用されておらず、埃だけを撒き散らす)、テレビ塔である。東京では東京タワーに全テレビ、ラジオのアンテナが集約され、名所になっている。これは関西の人間がつくったのに、関西では生駒山頂に各テレビ局の塔が林立して、山をダメにした。
 来年度も春と冬にフォーラムを企画している。楽しみだ。



●2月11日(月)格差問題

 このところ春のような陽気が続きます。タンポポも例年より2ヶ月早く咲いていると伝えられています。異常気象の影響なのか、予断を許さない状況です。
 森元恒雄氏
からの便りを掲載します。

● 制度に内在する格差(5) 
            ―被用者健康保険と国民健康保険(2)―


 なぜ、国保の保険料がこのように高いのか。その理由は簡単です。まず、国保の加入者は自営業者、無職者、零細企業従事者等で、その所得が組合健保や政管健保の加入者に比べて全般に低く、1世帯あたりの平均年間所得は国保が132万円であるのに対し、組合健保371万円、政管健保230万円となっています。他方、その加入者には高齢者が多く、国保加入者の平均年齢が53.2歳であるのに対し、組合健保33.9歳、政管健保37.2歳となっています。このため、1人当たり年間診療費は平均で国保16.3万円、組合健保10.0万円、政管健保は11.4万円という状況です。

 つまり、その加入者の大半が若くて働き盛りの年齢階層の人々で占められ、所得も多い大企業を中心に設立されている組合健保、次いで所得がある中小企業に勤めるサラリーマンが加入している政管健保は、支出する医療費が相対的に少ない中で負担能力が大きい人が多いために、1人当たり保険料負担が小さく済んでいるのに対し、国保の場合は、そもそも農業従事者や自営業者を対象に制度が発足したこと、さらに定年退職して第一線を退くと、それまで加入していた組合健保や政管健保から国保に移ることから、高齢になって病気に罹りやすくなる一方、所得が大幅に少なくなる人々を多く抱えているために、1人当たり保険料負担
が大きくなるわけです。

 しかも国保の場合、昭和36年当時、世帯主の職業をみると、農林水産業が44.7%、自営業が24.2%占めていたものが、平成14年には各々4.9%、17.3%と大幅に減り、代わって無職者が9.4%から51.0%と大幅に増えています。また、加入者の年齢構成も年々高齢化し、昭和50年には7.6%であった60歳以上の高齢者の割合は、平成13年には45.2%まで上
昇しています。

 また、加入者の状況がこのようなことから、国保は慢性的に財政赤字を抱えており、平成17年度決算では市町村が法定外の負担分として3,858億円を一般会計から繰り出しているにもかかわらず、なお3,689億円の赤字となっています。

 国保の保険料負担が高く、その財政が赤字体質であるのは、構造的な要因に基づくものであることは明らかです。このため、国においても、従来から様々な医療保険間の財政調整の仕組みを創設し、また、国庫による財政支援を行っています。しかし、抜本的な解決は、医療保険制度の一元化しかないと思われます。国としても、将来の方向としては一元化に向けて努力することを明らかにしていますが、関係者の利害が大きく絡む問題であるだけに、一元化に向けて合意を取りつけることは容易なことではないのも事実です。制度間に不均衡、不公平が存在する代表例の一つとして、着実にその解消に向けて努力することが、我々に課さ
れた課題であると考えています。(参議院議員 森元恒雄氏)



●2月10 日(土)恒例の会合


下鴨茶寮の玄関】

 今日は下鴨神社近くの下鴨茶寮でオーナー経営者3人と情報誌編集部と恒例の懇談会を開いた。話は多岐に及んだ。
 関西テレビの報道は言語道断という。それだけ庶民は情報で操り易いことがわかったともいう。不二家より悪質だという。関西テレビの首脳陣は総退陣をするだろうとみていた。その後も厳しい経営状況が続くだろうという。3人のなかに食品会社の会長がいたが、「賞味期限を守るために3日間で冷蔵庫を空にするには、もったいないという意識がもたげてくることもあるが、それをやると命とりになる」と自戒の言葉。賞味期限は自主的に決めるものだから複雑な心境のようだ。菓子業界は不二家に同情しているという。そして不二家は立ち直ると強調していた。
 トンガは王の死去で格差問題が表面化、暴動が頻発、団長で訪問予定が延期になったそうだ。いまトンガは危険度2だという。
 次回の会合を確認して別れた。

 早目に行って、鴨神社にお参りした。昨年、葵祭見物に行って以来である。神社の近くに
ムクドリの群れが大きなユズリハ?の実を食べているのを見た。どうもこの木は珍しいようだが、確認できていない。ユズリハに似ているようだが、実がつくのかどうか。
【ムクドリが群がった木?】



●2月9日(金)河内国分

 今日は午後から河内国分へ調査取材にでかけた。近鉄・南大阪線で布施駅から急行で15分である。はじめて降りる駅だった。ここは柏原市である。この沿線も人口が密集している風景が続く。国分といえば、ぶどうの産地であったが、いまはどうなのか知らない。かつてサントリーの赤玉ポートワインもここでつくられた。
 私が訪れたところは工場地帯の一角で、ごちゃごちゃしている印象だった。ここで岩手県に進出している工場長が帰阪した機会に面会、岩手の実態調査の取材である。2月の岩手はに雪がまったくないということだった。そこは半導体関連の工場で、1年で3倍の増設という活況ぶりである。


●2月8日(木)生駒と野鳥

 この日は朝9時から生駒山へ向かった。枚岡梅林から「らくらく登山道」を経てなるかわ園地から慈光寺、そしてアジサイ園、最後にグリーンガーデン枚岡まで野鳥を観察しながら約5時間歩きました。今年になって一番の長い歩いた距離でした。

 今回はサンコウチョウの巣を確認したく、行きました。ちょうどそこへ野鳥の会の方がアジサイ園から降りて来られました。
「今年はウソが多いですよ。アジサイ園の桜の木に大群がきています。昨年までほとんど見なかった鳥です。また梅林にはトラツグミが多く、見られます」
知人が神戸森林公園で撮ったのですが、オオマシコは珍しいのですか。」
「珍しいです。神戸森林公園に4羽入ったことが確認されています。関西では4箇所、確認しています」

 こうした情報が得られるのがうれしい。しかし、わたしが確認できた野鳥は、ヤマガラ、メジロ、ヒヨドリ、ツグミ、シジュウガラていどで、ウソやトラツグミにはお目にかかれなかったです。下山途中で、写真を撮っていた人に聞くと、「アオゲラを撮った」ということでした。 ウソもたくさんいると話していました。

 今年は野鳥のあたり年のようだ。慈光寺で野鳥塚を見つけました。
慈光寺の野鳥塚】


●2月7日(水)格差
 本当に季節が狂ったのかと思うほどの陽気な気候が続きます。2月に入って相変わらず仕事が忙しい毎日です。
 森元議員からの便りを掲載します。

● 制度に内在する格差(4) 
 ―被用者健康保険と国民健康保険(1)―

 公的年金以上に加入者の間で大きな負担の格差が生じているのが公的医療保険です。公的医療保険こそ公的年金に優先して一元化すべき政策課題です。

 わが国の公的医療保険制度は、大正11年の健康保険法の制定に端を発しています。当初、その適用対象は、従業員10人以上の工場、事業所の常用労働者に限定され、保険者は政府と健康保険組合の二本立てとされました。300人以上の労働者を使用する事業主は、健康保険組合を設立して自主的に運用することとされ、それ以外の事業所に勤務する労働者は、政府管掌健康保険組合に加入することとされました。組合健保、政管健保の適用対象となる労働者の範囲は、その後数次の改正を経て、順次拡大されていきました。

 他方、農業者、自営業者等については、昭和13年に旧国民健康保険法が制定され、公的医療保険の適用対象に追加されましたが、当初は市町村に組合設立の義務がなく、また原則として任意加入でした。その後、昭和23年に国保組合に代わって市町村公営の原則が確立され、全ての市町村に対して実施を義務づける新国民健康保険法が制定されたのは、昭和33年のことでした。この時をもって、わが国においても、全ての国民が加入する国民皆保険制度が確立したと言えます。
 国民皆保険制度が確立している主要国の中では、イギリスは大部分が国の一般財源でカバーされる国民保健サービス(NHS)が、全国民に対し無料で保健医療サービスを提供していますが、ドイツやフランスでは、わが国同様、様々な医療保険制度が分立しています。公的医療保険は、国民が不慮の事故や災害で負傷したり疾病に罹った場合、その費用が負担できないためにみすみす命を落としたり、身体が不具合にならないようにすることを目的として、予め保険に加入し、いざという時に備えるものであり、また、所得や資力が少ない人でも他の人と同様の医療が受けられるようにするため、相互扶助の精神に基づき、負担能力に応
じて保険料を負担するものです。
 公的医療保険は、組合健保、政管健保、国保等に分立していますが、その給付内容や給付水準は、全ての医療保険を通じて同じであり、また、加入している保険によって受診できる医療機関が異なるということもありません。しかし、加入者が負担する保険料は、加入している医療保険の種類によって大きく異なります。同じ所得で比較した場合、組合健保の加入者の負担が最も小さく、国保の加入者の負担が最も高くなっています。例えば、年収300万円の人の場合、組合健保の保険料は平均で年間9.9万円、政管健保は12.3万円であるのに対し、国保は4人世帯の場合25万円と、その額は組合健保の2〜3倍にもなります。同じ所得水準であるにもかかわらず、なぜ加入している医療保険の違いによってこれほど保険料負担に大きな格差が生じているのか。それを説明する合理的な根拠は、どこにも見出せないように思います。それは、わが国の公的医療保険が組合健保、政管健保から始まり、順次分立した制度として対象者の範囲を拡大して来たという、歴史的経緯によるものであるとしか考えられません。(参議院議員 森元恒雄氏)


●2月6日(火)とも山向こうから来る
        梅の開花はじまる

 旧友が生駒山(642m)の奈良県側から登り、山頂から携帯で自宅にいた私に連絡が入る。枚岡公園で待つ。
 彼は足を鍛えるために、山登りを続けている。近畿の山を中心に昨年は立山にも登ったそうだ。1週間に3〜4日、どこかの山に登っている。かつては水泳にかよっていたが、いまは山に変えている。
 高齢者になって歩けなくなるのが一番辛いから、いまから鍛える。わたくしも学ばなければと思うが、そこまでできない。

「あとはいかにボケないで高齢者になるかだ」という。月に1度、若い女の子に混じって料理教室にもかよっている。独居老人になっても大丈夫だという。

 枚岡梅林の梅がこの陽気でちらほら開花しはじめた。来週は4〜5分咲きだろう。

 保険所から「らくらくうきうき水中ウォーキング」の同窓会の案内がきた。同窓会と称して健康でチェックのための呼びかけである。一度、受けると徹底してフォローしてくれる。
 3月1日の午後の約3時間、水中ウォーキング、血液検査(血糖値)など無料でやってくれる。この日ダメなひとは、3月8日にくるようにというお達しである。
 ありがたいことだと思います。高齢者は健康が第一。

  
【枚岡梅林の紅梅(左)と白梅】


●2月6日(火)ビターシュナイヒ

 
先日、拙著『アートテクノ』の内容で知人から以下のような問い合わせがありました。 
 「これまで多くの酒類や醗酵に関する書物を読んでまいりましたが、大概、月並みなモノが多く、長くその著作のことを想う事もありませんでしたが、 今回のあなた様の作品は、すばらしいものでした。
  おそらく非常に豊富な取材とコミュニケーションにより今回の記述がお世辞抜きにすぐれたものになったのだとおもいます。
    多くの専門的な外国語の用語や概念、とりわけ英語以外に、ドイツ語の多用は、本質的な表現を求める際に、江戸の蘭学者たちの苦行と同様、執筆者のあなた様が絶えず適切な表現を日本語に求めながらも、仕方なく外来語になっていない外国語の直接の採用に踏み切らざるを得なかった事情が手にとるようにわかります。
  書中の「エトバスノイエス」(= etwas neues) は、ドイツ語で生活する人々の日常語のひとつですので、その人たちにはすぐに理解できるコトバです。英語でいうところの、something new)
  しかし、やはりあなた様の作品の中に出てくる「ビター・シュナイッヒ」(苦味のキレをあらわす)語については、どのような綴りなのか、お聞きしたいと想っておりました。
 (小生のもっている独和辞典にはでていませんが、専門用語は、羽根布団の世界でもそうなのですが、辞書に出ていない用語はいくらでもあります。
    書斎にお戻りの際は、お調べいただけるかも知れないとおもい、昨日は直接尋ねることを控えました。 わかればお知らせください。
    辞書になければ、レオナルド ダ ヴィンチ同様、新語を作ればいいとおもいます。
    この語は、生産者だけでなく、多くのビール党の党員にとりまして必須のガイネン
    (概念)の地位を占めるべき語のひとつではないかとおもいます。また、いつかお会いしたくおもいます。」

 
これは私の能力を超えていましたので、サントリーにお聞きしました。
 「先般、お問い合わせのありました件ですが、弊社の技術者に確認をいたしました。
「ビターシュナイヒ」ですが、ドイツ語では以下のようになるとのことです。 
Bitter schneidig 
「Bitter」は「苦味」、「schneidig」は「切れるという意味の形容詞」だということです。 
 読みとしては、正確には「ビター シュナイディヒ」となるようです。そうすると「ビターシュナイヒ」では正確さに欠けていたということになります。」

 
このメールに対してお礼のメールが届きました。
「よくわかりました。ありがとうございました。
 zu schneiden =  to cut
 Schneider = cutter
 ドイツでシュナイダーさんという苗字の方がたくさんおられますが、ギルド(徒弟)時代の包丁や農具(鎌)などを作っていたり、それに関係のあった人々にみられる姓です。
(大昔は日本と同じく、苗字は普通の階級にはありませんでした。)」

 
いやー、たいへん勉強になりました。


●2月5日(月)野鳥の便りオオマシコ&ウソ)
オオマシコです=堀氏撮影】


ウソです=堀氏撮影
 堀さんから野鳥の写真が届いています。これは1月21日に送られてきたものです。みごとですね。

 「何時も万博公園なので今回は神戸市立森林公園へ行きました。冬は路面凍結が怖いので、ほとんど冬に行ったことがありませんでした。暖冬のおかげで足を伸ばしました。例によってこの寒い時に、ここに来る人はほとんどカメラを担いでいます。
 
 運良く、関西では珍鳥と言われるオオマシコに逢えました。逆光で赤色が・・・   ぬける所で写せたらさぞかし綺麗かと。
 ウソにも逢えました。ウソの写真は嘘の話のようです。コガラを狙って構えていたらレンズに飛び込んできました。ウソとは直ぐに気がつきませんでした。
 追伸 ルリビタキの♂も撮れました。 さすが六甲、野鳥の宝庫ですね。年会費を払ってしまいました。」
 

●2月3日(土) 
大阪の出版
 
 昨日は大阪府立中之島図書館の文化講演を聞いた。いまの大阪の出版界は無いに等しい。明治から昭和(戦前)までは、書店が出版する形態だったのでユニークな出版社があった。日販、トーハンなど取次ぎが東京に集中、地方での出版活動は狭められ、成り立たなくなった。
 こうした近世の出版活動を研究されている方に敬意を表したい。会場はほぼ満員で、みんな熱心に聞き入っていた。波屋書房はいまも書店として続けている。
 参考に昨日の講演内容を掲載します。
 
「雑誌“辻馬車”と波屋書房の周辺」 〜大阪出版史の一齣(ひとこま)〜 
   講師:林 哲夫氏 (プロフィール: 1955年、香川県生まれ。画家・文筆家。著書に『文字力100』、『歸らざる風景−林哲夫美術論集』(みずのわ出版)等。2002年『喫茶店の時代』(編集工房ノア)で第15回尾崎秀樹記念大衆文学研究賞受賞。)
 
 大正14年、雑誌「辻馬車」は、文学を志す藤沢桓夫、小野勇、神崎清等に波屋書房の宇崎祥ニが協力するかたちで出来上がった若者達による文芸雑誌である。若人たちの新鮮で真剣な文学と出版への思いと、関わった人々の人間模様を通じて大正から昭和時代の大阪出版史。


「三好米吉とは何者か?」〜雑誌「柳屋」と近代の大阪出版界を考える〜 
 講師:
熊田 司氏(プロフィール: 1949年、兵庫県生まれ。大阪市立近代美術館設立準備室研究主幹。主に日本近代の美術史を研究、関連の出版史・印刷史にも関心を寄せる。『美術フォーラム21』、『大阪の歴史と文化財』等に論文を発表。)
 
 宮武外骨にとって最も信頼できる部下だった三好米吉は、明治43年古書籍美術店”柳屋書店“を起こした。米吉が出版したユニークな雑誌が「美術と文芸」で「柳屋」はその後継誌である。宮武外骨の「滑稽新聞」に係わり、明治後期の大阪に出版の小さな火を灯しながら与謝野晶子・鉄幹等と交流した。近代大阪の出版史を三好米吉を中心の話。(大阪府立中之島図書館のHPから引用)



●2月2日(金) 格差問題

 森元・ 参議院議員からの格差問題の便りを紹介します。

● 制度に内在する格差(3)
 ―厚生年金と国民年金の格差(2)―

 国民年金と厚生年金が異なる点は、所得比例部分の有無です。したがって、両者を一元化する場合には、国民年金にも新たに所得比例部分を導入することになります。
 国民年金と厚生年金を一元化する場合、問題となる主な論点として挙げられているのは次の点です。

(1) そもそも年金制度は第一線を退いた後の生計費を保障するためのものですが、会社や役所等に勤めているサラリーマンや公務員と異なり、自営業者には定年がないので、老後も健康でさえあれば生計費を稼ぎ続けることが可能です。そこで、このような被用者と自営業者の稼得状況の違いをどのように考えるかという問題があると言われています。
 しかし、この点は、それではなぜ自営業者等のために定額の国民年金制度を創設したのか、その根拠を自ら否定することにつながるように思われます。

(2) サラリーマンや公務員については、給与や賞与等の金額が年金保険料算定の対象とされていますが、自営業者等については収入から必要経費等を差し引いた実質的な所得をその対象とする必要があり、それが難しいと言われています。
 しかし、所得税の課税においても同様のことは行われており、この点は技術的なレベルの問題に過ぎません。本質に関わる問題とは言えないと思います。

(3) サラリーマンや公務員は事業主を通じて所得税が源泉徴収され、その給与所得は完全に捕捉されていますが、自営業者等は申告納税によっており、その所得を正確に捕捉することが難しいのが実情です。
 このため、国民年金に所得比例方式の2階建て部分を導入した場合、所得の補足状況によって年金対象者の間に年金保険料、年金受給額とも大きな格差が生じ、納税の不公平が年金の世界にまで拡大されることになると懸念されています。
 年金制度のしくみが拠出方式で、自ら納付した保険料に応じて年金額を受給するのであれば、捕捉された所得が低い人は将来受給される年金額も低くなるだけですから、特段不公平な扱いにはならないとも言えますが、現在の年金制度は賦課方式を採っており、受給する年金額は自ら納めた保険料に見合う形で算定されていないため、所得の補足が正確に行われないと不公平な取扱いになることは間違いありません。
 しかし、この点は、そもそも所得税課税における所得補足に大きな格差が生じていること自体が問題であって、その解消を先送りしていることを早急に改めることが先決であると思います。納税者番号制度を導入すれば全て解決とはいきませんが、まずその導入を図る必要があります。

 なお、現在第1号被保険者(農業、自営業、学生など)約2,200万人のうち、通常は所得税を納める所得がない無業者(自営業者の配偶者、学生など)や家族従業者が約1,300万人となっており、これに加えて、
申告すべき所得のない自営業者もいると考えられます。このように、国民年金の対象者の多数の人に所得税を納める所得がないという実態をそのように考えるべきか、という問題があります。結局それらの人々は、仮に国民年金に2階建て部分が設けられても現在と何ら変わらないことになるからです。

(4) 被用者の年金保険料は現在本人と事業主とで折半して負担することになっています。しかし、国民年金の加入者には事業主がおりません。したがって、所得が同じなら自営業者等の本人が被用者の2倍の年金保険料を支払うことになりますが、果たしてこのようなことで自営業者等の理解と納得が得られるかという問題があります。
 このことに関して、被用者の事業主負担は本来本人に支払われるべき給与の中から本人に代わって事業主が負担しているものであるから、形式的には本人負担は2分の1であるかのように見えるが、実質は全額が本人負担であり、自営業者等との間でその負担割合について何ら差が生じていないという意見があります。しかし、仮に被用者の年金保険料が現在の2分の1から全額に引き上げられたとした場合、それまで事業主が2分の1負担していた部分を給与として被用者に支払うでしょうか。それは現実には難しいように思われます。

 このように、国民年金と厚生年金を一元化するためには、解決しなければならない点が多々あり、その多くは、共済年金と厚生年金という被用者年金の一元化と比べて決して簡単なものではありません。それを乗り越えるには、国民年金に加入している人々の強い要望が基本です。それがないのに、国民年金に所得比例部分を導入することは、到底不可能です。

 なお、ご参考までに、昨年暮れの共済年金と厚生年金の一元化に関する政府・与党合意案、公的年金の沿革及び年金制度の国際比較をご紹介します。必要な方は以下にアクセスして下さい。


「被用者年金一元化の基本的な方針と進め方について」
http://www.t-morimoto.com/files/20061219pension.pdf
公的年金制度の沿革
http://www.t-morimoto.com/files/pension-enkaku.pdf
年金制度の国際比較
http://www.t-morimoto.com/files/pension-hikaku.pdf

                   (参議院議員 森元恒雄)





●2月1日(木) 池坊由紀次期家元

 先日、池坊華道会の次期家元に就く池坊由紀女史の事業承継の話を聞く機会がありました。いけばなについてまったく、知識がなかったのですが、たいへん興味深いお話でした。池坊は500年余りの歴史があり、池坊由紀女史は初の女性家元で第45世だという、たいへんな継承の歴史があるのです。

 この伝統文化を守り引き継いでいくためにたいへんな努力をしていることがわかりました。以前、日本の家には床の間があって、大家族でもあったので、おばあちゃんがいけばなを活けたりしていた。いまは、いけばなをしても家に花器を置く場所がなくなり、また女性も働く時代でいけばなをする時間的余裕がないということです。そうした状況のなかで守っていくたいへんさを知りました。

 池坊家では長子相続で、池坊の名前は長子のみが使え、ほかの兄弟、姉妹は他の名前(小野など)を名乗ることになるという。
 戦後、GHQは家元制度を排斥しようとしたが、関係者の嘆願で継続できたようです。 いま日本の伝統文化の継承が大きな問題になっています。近く、大阪の伝統文化の一つ、能楽の人材育成などそれを守っている人たちを取材しようと思っています。